minotakeya
委託販売

ストーリー

「あ~、オレ・・・あんまし、こだわりとかない方なんスけど、
流行のピエール先生のデザインした武具は、やっぱ、
かっけーツーか、なんかこう、いい感じなんスよねぇ~」

ここはアーネットの街。
俺は、このあたりじゃ少しは名の通った武器職人だ・・・が、
勇者候補の若者が街に来たから、
装備を揃えてほしいと、市長から依頼され、
その勇者に会いに来てみれば、聞かされた第一声がこれだった。

「細かいオーダーはここに書いといたんで、あとはよろしくッス」
そう言うと、勇者は何枚かのメモを残して去ってしまった。

勇者がこの街の武具で魔王を倒したら、
街のよい宣伝になると市長は言っていたが、
あの勇者に倒される魔王がいたら、その顔を見てみたい。

こんな依頼、無視してやろうかと思ったが、
他にも何人かの武器職人に声をかけたらしく、
そいつらに負けるというのも面白くない。

「はぁ・・・」
俺はため息と共に立ち上がると、
メモをポケットにつっこみ、工房へと向かった。